アトピーと自己肯定感

「自己肯定感を持つことが大事」
よく聞く言葉ですが、正直に言うと、私はこの言葉が少し苦手でした。アトピーがあると、自分をそのまま肯定する、という感覚がとても難しく感じていたからです。

子どもの頃から、肌は思うようにならないし、かゆみは我慢しなければいけないし、「普通」に見えない場面もたくさんありました。そういう経験が重なると、どうしても「アトピーは自分にとってマイナスだ」という感覚が根付いてしまいます。今でも、その考えが完全に消えたわけではありません。

だから、「自己肯定感を持とう」と言われても、どうすればいいのかわからない時期が長くありました。アトピーがある自分を、そのまま好きになれるかと言われたら、正直、簡単ではありません。

でも、大人になってから、少しずつ考え方が変わってきました。

それは、会社や、趣味の集まりなど、自分が関わるコミュニティの中で、「役に立てた」と感じる経験が増えてきたからです。仕事で誰かの助けになったとき、チームの一員として動けたとき、感謝されたとき。そこには、「アトピーのある私」ではなく、「役に立っている私」がいました。

よく考えてみると、その場面で、アトピーはほとんど関係ありません。肌の状態よりも、話を聞けたか、行動できたか、約束を守れたか。評価されているのは、そういう部分でした。

そのとき、ふと思ったのです。
アトピーがマイナスだと思っているのは、案外、本人と家族くらいなのかもしれない、と。

もちろん、家族が心配する気持ちは自然ですし、本人がつらいのも事実です。でも、それ以外の人にとっては、アトピーがあるかどうかより、「どう関わってくれる人か」の方が、はるかに重要です。実際、私の周りの人たちは、私の肌のことよりも、仕事ぶりや性格で接してくれていました。

そう気づいてから、「自己肯定感」という言葉の意味が、少しだけ変わりました。
無理に「アトピーのある自分が好き」と思わなくてもいい。ただ、「誰かの役に立てた自分がいる」という事実を、ちゃんと認めてあげればいいのかもしれない、と。

アトピーがあること自体は、やっぱり本人にとってはマイナスに感じやすいです。体調に左右されるし、制限もあります。でも、そのマイナスが、その人の価値を決めているわけではありません。価値は、もっと別のところで、日々積み重なっていくものだと思います。

私自身、自己肯定感が「高い」と胸を張って言えるわけではありません。それでも、「役に立てた経験」を一つずつ積み重ねていくことで、「私はここにいていいのかもしれない」と思える瞬間は増えました。それで十分なのかな、と今は感じています。

もし、アトピーがあることで自信を持てずにいる方がいたら、無理に自分を好きになろうとしなくてもいいと思います。まずは、小さなコミュニティの中で、自分なりの役割を見つけること。それだけで、アトピーとは切り離された「自分」が、ちゃんと立ち上がってきます。

これは私の体験談なので、誰にでも当てはまるとは言えません。ただ、「アトピー=全部マイナス」と思わなくていい視点があることは、伝えたいなと思いました。

自己肯定感は、一気に持つものではなく、日常の中で、少しずつ育っていくものなのかもしれません。その過程に、アトピーがあってもなくても、本当は関係ない。今は、そう思えるようになっています。