アトピーと年齢を重ねること

子どもの頃から思春期にかけて、私にとってアトピーはとても大きな存在でした。今振り返ると、「大病のようなもの」「自分にはものすごく不幸なことが起きている」と感じていた気がします。見た目にもわかるし、かゆみや痛みもあるし、周りと比べてしまう年頃だったこともあって、気持ちの中で必要以上に大きくなっていたのだと思います。

小学生の頃は、ただつらくて、どうして自分だけ、という気持ちが強かったです。中学生、高校生になると、人の目も気になりました。半袖やスカートを避けたり、かゆくても掻かないように我慢したり。今思えば、体だけでなく心もかなり緊張していたんだと思います。当時の私は、アトピーが人生の中心にあるような感覚でした。

でも、大人になってから、少しずつ考え方が変わっていきました。劇的に何かが治ったわけではありません。かゆみは今もありますし、調子の悪い時もあります。ただ、「生き方を選べる」という感覚を持てるようになったのが、大きな変化だった気がします。

社会に出て、いろいろな人と関わるようになると、気づくことが増えました。ぱっと見ではわからないけれど、みんなそれぞれ悩みを抱えている、ということです。アトピーのように目に見える病気ではなくても、家庭のこと、仕事のこと、体調のこと、心のこと。話を聞いてみると、「この人も大変なんだな」と思う場面がたくさんありました。

その中で、「自分だけが特別に不幸なわけじゃないのかもしれない」と思えるようになりました。もちろん、アトピーがつらかった事実は変わりません。でも、それを人生最大の不幸のように捉え続けなくてもいいのかもしれない、と思えたのは大きかったです。

年齢を重ねると、良い意味で諦めがつく部分も出てきます。「こういう体質なんだな」「今日は無理しないでおこう」と、自分に対して少し優しくなれました。若い頃は、治さなきゃ、普通にならなきゃ、と気持ちが先走っていましたが、今は「付き合いながら、できる範囲で整える」でいいと思っています。

また、大人になると、自分の環境をある程度選べるようになるのも助けになりました。仕事の仕方、生活リズム、付き合う人。アトピーに合わないことを、少しずつ減らしていく選択ができるようになります。これも、子どもの頃にはなかなかできなかったことです。

年齢を重ねることに、不安がないわけではありません。これからどうなるのか、正直わからない部分もあります。ただ、昔のように「先のことを全部悲観する」ことは減りました。今の自分なりに工夫して、今日をなるべく穏やかに過ごせたら、それでいいかなと思っています。

もし、今アトピーで悩んでいて、「この先ずっとつらいのかな」と感じている方がいたら、そんな考え方もある、という一例として読んでもらえたらうれしいです。年齢を重ねることで、症状そのものよりも、受け止め方が変わって、気持ちが少し楽になることもある。少なくとも、私はそうでした。

これはあくまで私の体験で、誰にでも当てはまる話ではありません。ただ、アトピーと一緒に年を重ねる中で、見える景色が変わってくることもある、ということは、そっと伝えておきたいなと思います。