私にとって「アトピーと家族」は、切り離せないテーマです。
子どもの頃からずっとアトピーだった私は、両親に本当にたくさんのことをしてもらいました。病院に連れて行ってくれたこと、薬を塗ってくれたこと、食事や生活環境を気にかけてくれたこと。今思い返すと、「ありがとう」という気持ちと同時に、「すごく手をかけさせてしまったな」という申し訳なさが、今でも胸の奥に残っています。
当時の両親は、きっと必死だったと思います。
少しでも良くなるなら、といろいろ調べて、試して、悩んで。子どもの私には分からなかったけれど、「治してあげたい」という気持ちが強かったのだと思います。大人になった今だからこそ、その重さが想像できて、余計に胸がぎゅっとなります。
一方で、アトピー本人の立場からすると、「申し訳ない」と感じること自体が、実はかなりの負担でした。
かゆくてつらいのに、「心配かけちゃいけない」「また悪化したって言いづらい」と思ってしまう。そういう気持ちは、なかなか言葉にできません。家族だからこそ、気を使ってしまう部分もあるのだと思います。
だから今は、もし「家族にアトピーの人がいる立場」だったら、どう接したらいいかな、と考えることがあります。
正解は分かりませんが、少なくとも「治さなきゃ」「どうにかしなきゃ」と思いつめすぎなくてもいいのでは、と思うようになりました。
もちろん、治してあげられたら、それは最高です。
でも現実的には、アトピーはまだ「完全に治る」と言い切れる病気ではありません。治療も体質も、人それぞれ。頑張っても思うようにいかないこともあります。だからこそ、ご家族まで追い込まれてしまうのは、少し違う気がしています。
私自身、家族が深刻な顔で心配していると、「大丈夫だよ」と無理に明るく振る舞ってしまうことがありました。でも、普通に笑って、いつも通り接してもらえるほうが、ずっとラクでした。「今日は調子どう?」と軽く聞いてくれて、しんどそうならそっとしておいてくれる。その距離感が、ありがたかったです。
配慮というのは、何か特別なことをすることだけではないと思います。
「無理に触れない」「過剰に心配しすぎない」「本人の判断を尊重する」。そういう小さな積み重ねが、アトピーのある人にとっては大きな支えになります。
大人になった今、私は両親に対して、感謝と申し訳なさの両方を感じています。でも最近は、「あのときできることを一生懸命やってくれたんだ」と、少し穏やかに受け止められるようになりました。それだけでも、気持ちはかなり軽くなりました。
アトピーと向き合うのは、本人だけでなく、家族にとっても長い道のりです。
だからこそ、完璧を目指さなくていいし、正解を出そうとしなくてもいい。笑顔で接してあげること、普通の時間を一緒に過ごすこと。それだけでも、本人の心はずいぶん救われます。
最近は、アトピーの家族向けに書かれた本や、生活の工夫をまとめた情報も増えています。必要だと感じたときに、無理のない範囲で参考にしてみるのも、一つの方法かもしれません。でも何より大切なのは、「一人で抱え込まないこと」だと思います。
アトピーは、家族全員の人生を縛るものではありません。
悩みながらでも、笑いながらでも、一緒に生活していく。その中で、少しずつ折り合いをつけていけたら、それで十分。私はそう思うようになりました。