「アトピーの人は、かゆみで眠れない」
たぶん、アトピーのことを少しでも知っている人なら、なんとなく聞いたことがある話だと思います。実際、当事者である私自身も、「そういうものだよね」と、いつの間にか当たり前の前提として受け取っていました。
夜になると、体が温まってかゆくなる。
寝ようとすると、気になりだす。
気づけば、眠りが浅い。
アトピーの人なら、多かれ少なかれ経験があると思います。私も、子どもの頃からずっとそうでした。だから、「どれくらい眠れないのか」「どれくらい浅いのか」を、誰かと比べたことはあまりありません。比べようがない、というのが正直なところです。
例えば、実家の父は、夜中に何度もトイレに起きます。
その様子を見るたびに、「もしかしたら、父の方が私より眠りが浅いのかもしれないな」と思ったりもします。
かゆみで起きるのと、トイレで起きるのと、どちらがつらいかなんて、簡単には言えません。
私自身も、時期によってかなり違います。
かゆくてなかなか寝付けない夜が続くこともありますし、朝起きたら、肌着のどこかに掻いた跡と一緒に血がついている、という時期もありました。
寝ている間のことは覚えていなくても、「ああ、夜も無意識に掻いていたんだな」と分かります。
正直に言えば、何も病気のない人と比べたら、眠れない夜が多いのは間違いないと思います。
しっかり寝たつもりでも、どこか疲れが残っている感覚があることもあります。
ただ、年齢を重ねるにつれて、少し考え方が変わりました。
世の中には、アトピー以外にも、眠れなくなる理由はたくさんあります。
メンタルの不調だったり、痛みだったり、不安だったり。
私よりずっと眠れない人も、きっといます。
だから私は、特別な根拠があるわけではないのですが、
「つらいのは自分だけじゃない」
「もっと大変な人もいるかもしれない」
そう思うようにしています。
これは、「我慢しなきゃいけない」という意味ではありません。
ただ、自分を必要以上に「悲劇のヒロイン」にしないためです。
眠れない夜が続くと、どうしても考えが内向きになります。
「なんで私だけ」
「この体じゃ仕方ない」
そう思い始めると、気持ちまで重くなってしまいます。
でも、「まあ、今日は眠りが浅かったな」「こういう日もある」と、少し距離を取って考えると、意外と翌日を普通に過ごせることもあります。
眠れなかった事実は変わらなくても、受け止め方で、心の疲れ方は違う気がします。
最近は、夜の過ごし方も、「ちゃんと眠らなきゃ」ではなく、「少しでも楽に過ごせたらいい」くらいに考えています。
肌触りの良いパジャマを選んだり、寝る前に刺激を減らしたり。
それで眠れたらラッキー、眠れなくても「今日はそういう日」と思う。
保湿剤や寝具を選ぶ時も、「これで治るかどうか」ではなく、「今夜、少し安心できそうか」を基準にしています。
結果的に、その方が続いています。
これはあくまで、私の体験です。
眠れないつらさの感じ方も、対処の仕方も、人それぞれだと思います。
ただ、アトピーと眠れない夜を抱えている人が、
「自分だけが特別につらいわけじゃない」
そう思える瞬間があれば、少し気持ちが軽くなるかもしれません。
眠れない夜があっても、朝は来ます。
完璧に眠れなくても、今日をなんとかやり過ごせたら、それで十分だと、今は思っています。